簿記と会計の関係

簿記と会計の関係をあえて上下関係で現わすなら、簿記は会計の下位に位置付けられます。
会計は企業の営業活動を全て貨幣計算によって現わし、それを企業の経営者や株主、取引先などの利害関係者に客観的に示す為のルールを取り決めます。
具体的にそれを明示したものは、現在日本の多くの企業が自社の会計の拠り所としている「企業会計原則」です。
簿記はこの会計の決めたルールに従って企業の営業活動を貨幣計算の面から記録、計算、整理して最終的に「元帳」を作成するまでを担います。
従って、会計が企業における営業活動を全て包括する概念なのに対し、簿記はそれに従属して会計に必要なデータを提供する為の技術という事になります。
企業の営業活動の結果は基本的に1年単位の「財務諸表」によって示されます。
この財務諸表を作るのは簿記ではなく会計の領域になります。
財務諸表の中心をなすのは「貸借対照表(バランスシート)」と「損益計算書(P/L)」ですが、このふたつは簿記の結果が凝縮された元帳をベースに作られます。
但し、財務諸表は単に元帳の数字を勘定科目別に分けて、貸借対照表と損益計算書に転記するものではありません。
財務諸表を作成するに当っては様々な部分で、「評価」をどの様にするかという問題が発生します。
例えば在庫の評価には「後入先出し法」、「先入先出し法」、「移動平均法」、「総平均方」、「売価還元法」など様々な方法があり、どの評価法を採用するかによって期中の売上原価がガラリと変わります。
特に石油などの様に値動きが激しい商品の場合、在庫の評価をどの方法にするかによって、大幅黒字が一転大幅赤字になるという様な極端な結果も現れます。
在庫の評価だけでなく減価償却資産の償却方法に定額法を採用するか定率法を採用するかによっても、企業の利益は変わって来ます。
この様に財務諸表を作成するには様々な評価が必要になりますが、この評価という工程は全て会計の領域になります。
簿記は証憑書類をバックに日常の取引を正確に記帳するのがその役割ですが、会計には評価という様な極めて人為的な部分が含まれています。
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